フロント/話題と人大久保 夏斗さん(合同会社HAYAMI代表社員、東京農業大学国際農業開発学科2年生)

2020年07月15日グローバルネット2020年7月号

草ストローで「毎日ちょこっとエコな選択を」

大久保 夏斗(おおくぼ なつと)さん
合同会社HAYAMI代表社員、東京農業大学国際農業開発学科2年生

脱プラスチックに向けて7月1日からプラスチック製レジ袋の有料化制度が開始されたが、その一方で、飲食店などで飲み物と一緒に無料で提供されることの多いプラスチック製ストローも、海外では削減・廃止する動きが広がっている。

大久保さんは草製のストローをベトナムから輸入、販売している。「草ストロー」は、水分を含むと耐久性が増すという特徴を持つ。ホーチミン郊外で栽培されるレピロニアという草の茎のみを材料に現地で手作りされている。栽培も加工過程でも、農薬・殺虫剤・化学肥料を一切使わず、茎を自然乾燥させて熱殺菌・UV殺菌を施す。自然の温度でかつ完全生分解性プラスチック製ストローよりも早く土に還る。イネの仲間の雑草の一種であるレピロニアはベトナムでは、もともとかご作りに使われていたが、需要を超える過剰生産により、数年前に草ストロー作りが始まったという。

昨年ベトナムを旅行した兄が、飛行機で隣に座ったベトナム人との会話で知った草ストローの存在を教えてくれた。そして「毎日ちょこっとエコな選択を」をモットーに、そのベトナム人も一緒に3人で草ストローを輸入販売することを決心した。今年4月に予約販売を始め、最初の1万本を輸入。(一財)日本食品分析センターの衛生規格検査を受け、5月末までに完売、会社登記も実現した。次の4万本もすでに入荷した。

兄は就職したため、コロナ禍で大学の春休みが延び、授業もオンライン形式となり時間に余裕ができた大久保さんが事務手続きや営業活動に走り回った。牧場や農場に併設された店や、オーガニックやベジタリアン向けの飲食店など全国約300件にサンプルを送った。「草ストローの使用後の再利用も考え、家畜の飼料になることから牧場にも着目した。仕入れ価格が一本約0.5円のプラスチック製に比べ草ストローはその10倍以上もするけれど、『コロナ禍の今こそ何か行動したい』と購入してくれた店も少なくなかった」という。

「全国の大学の食堂や音楽フェスでの採用、今より太いストローができる品種の開発、ストロー以外の製品への活用にも取り組みたい」と大久保さん。今後の活躍がさらに楽しみだ。19歳。(と)

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