特集/セミナー報告 2Rビジネスの新展開(講演)リデュース・リユースの意義

2021年04月15日グローバルネット2021年4月号

大正大学 地域創生学部 地域創生学科 教授
岡山 朋子(おかやま ともこ)

 現在、リユース容器による商品提供や容器包装をそもそも利用しない販売など、新たな2R ビジネスの動きが広まりつつあります。そんな中、東京都は2019 年12 月に策定したプラスチック削減プログラムにおいて、「使い捨てを徹底的に見直し、リユースを基調とした社会へ」と掲げています。
 本特集では、2R ビジネスの拡大を加速するため、東京都環境局が昨年11 月27 日に開催したオンライン・セミナー「2R ビジネスの新展開」での講演内容と、紹介された国内・海外の新しく始まっている2R ビジネスの事例について紹介します。なお、一部内容については各登壇者に確認の上、最新の情報に直してご紹介しています(2020年11月27日、オンラインにて)。

 

人間社会と地球環境を便宜的に図1のように分けてみると、人間はどうやって暮らしているかがわかります。人間は、非再生型資源である地下資源を多く採取し、それを使って物を作り、それを消費して要らなくなったら自然界に捨てる、ということをずっと繰り返してきています。この非再生型資源は使ったときに大きな環境負荷になっていくのです。

人間社会というのは、経済も社会も自然に支えられており、それを支えている大本は太陽光エネルギーです。また、人間社会は大きく生態系サービスに依存して暮らしていますが、そのサービスが提供されなくなったら地下資源はどんどん無くなり、環境負荷はどんどん増し、そのバランスはどんどん崩れていくのです。

そこで、不要物を出さず使い回す、それでも駄目ならリサイクル資源として人間社会の中でリサイクルする、ということが重要になってくるのです。

図1 循環型社会・3R とは何か そして2R とは
(出典:柳下正治 名古屋大学大学院環境学研究科 元教授当時作成資料)

地球を持続可能なものとするために~CO2実質ゼロのために

地球を持続可能なものにするため、人間の生活が持続可能なものになるためには、地球の再生ペースを上回った再生可能な資源を消費していないか、ということが重要です。また、再生不可能な資源の消費に代わり得る再生可能資源の開発を行わなくてはいけません。さらに汚染の排出量は環境の吸収能力や浄化能力を上回ってはいけない。これは米国の環境経済学者ハーマン・デイリーの3原則です。

ではどうしたら良いのか。とくに気候変動を止めるためには二酸化炭素(CO2)の排出は抜本的にネットゼロにしなくてはいけないといわれています。2020年10月26日、菅総理が所信表明演説で日本も2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると強く宣言し、これでビジネスだけでなく、われわれも行政も業者も一丸となって取り組まなければいけない段階に入りました。

実質ゼロというのは、簡単にいえば人間が生活で排出するCO2量すべてと自然界が吸収するべき量が同じでなくてはいけない、ということです。現在CO2の総排出量のうちエネルギー部門が55%、物を作る製造生産部門が45%を占めています。このエネルギー部門を再生可能エネルギーに転換すればゼロになっていくというのはわかりやすいのですが、見過ごされているのが製造生産部門です。とくに食料、鉄鋼、プラスチック、アルミニウム、セメントなどの製造についてCO2の排出量が多く、これを実質ゼロにするのは結構難しいのです。

それではCO2を実質ゼロにするにはどうしたら良いか。食料を含む鉄やプラスチックのカーボンフットプリントをゼロにする、つまり、リサイクルも含めた製造、生産に係るエネルギーを全部再生可能エネルギーに変えてしまえば良い、ということになります。しかし、再生可能エネルギーにも限界があり、どんなものでも理論値までは使えません。1秒間に地球に降り注ぐ太陽光エネルギーは火力発電所3千万基分ともいわれていますが、人類はそれで暮らしを支えられているわけで、過剰に使うことはできません。それはバイオマス資源の利用にも限界があるということです。温暖化の進行によって生態系、生物多様性の被害は深刻な状況が続いています。

また、時間的な限界もあります。2050年までにゼロといっても実際は持続可能な開発目標(SDGs)の目標年度は2030年度で、あと10年もないのです。早急なCO2削減のために技術開発が重要なのですが、画期的な新技術は簡単に実用化しないので、やはりリデュース・リユースの2Rが重要、ということになるのです。

2Rビジネスに求められる要件

では2Rビジネスに求められる要件は何なのでしょう?

最近あるテレビ局が始めたSDGsのキャンペーン番組を観ているのですが、SDGsは「昔に戻ること」という意味に聞こえてきて、それは少し違うのではないか思っています。消費者というのは目の前の環境が本当に危機的な状況にならない限り、行動を変えることはなかなかできません。生活様式を大きく変えず、今の仕組みにすんなりと入ってこられるものでなければいけないのではないかと思います。

また、便利で簡単、難しくないもの、そして環境負荷やカーボンフットプリントがきちんと示せること、価格競争力も重要です。ビジネスですから高くなってはならない。ビジネスだけの努力だけでは実現は難しいので、環境税のような環境政策が必要です。さらに安全性、環境性、健康性、機能性、デザイン性も重要だろうと思います。

しかし具体的なアイデアというのはなかなか出てきません。

食料とプラスチックのカーボンフットプリントゼロ化

そこで食料とプラスチックを例に、考えてみました。

2050年までに世界人口は20億人増加して97億人になる一方で日本人は3,300万人減少するともいわれています。一方温暖化の影響は進み、世界の食糧リスクは顕在化し、食の安全保障は脅かされています。

しかし、生産された食品の3分の1に当たる約13億tが世界中で廃棄されていると試算されています(FAO, 2011)。そのため、食糧生産に伴うCO2排出量をゼロにする、食品廃棄、食品ロスを減らす製品が求められます。

一方プラスチックについては、リデュースを目指し、究極的にはプラスチックの生産・使用はゼロにできる製品が求められます。化石燃料・原油の生産も2050年までには極力ゼロにしていかなければならない中で、樹脂も生産できなくなり、ペットボトルや発泡スチロール、その他のプラスチックそのものの生産ができなくなる時が来ると考えた方が良い。そうなると、プラスチックはまずリデュースすることが優先されます。

プラスチックの代替品として、バイオプラが挙げられますが、食料とのバッティングが懸念されます。容器の代替として瓶や紙パック、マイボトルは有効です。リユースについてはリユースカップ、リユース食器は王道ですが、排出時の分別やビジネス上の課題はリターナル瓶と同じです。また、水平リサイクルの可能性があるペットボトルは、排出時の分別などの課題が残ります。

ペットボトル削減に向けて ~大学の調査から

ゼミ生と一緒に大学でプラスチックがどのぐらい捨てられているか確認してみました。するとペットボトルは一日平均823本、ほぼすべてにキャップやラベルが付いたまま、飲料は水が多く、飲み残しも多く捨てられていました。レジ袋も800枚近く排出されていました。

それを削減するため、キャンペーンを実施しました。学内には水をリフィル(給水)する所が無かったので、東京都からウォーターサーバーを借りて設置しました。そしてすべてのごみ箱に分別排出ポスターを貼り、キャップとラベルを外して入れてもらうかごも設置しました。その結果、ペットボトルは約160本、レジ袋も130枚ほど減りました。

学生に「どんな条件があればマイボトルを持って来るか」とアンケートを取ったところ、「無料なら」74%、「有料でも清涼飲料水がリフィルできるなら」16%の学生が持参する、と回答しました。ですので、現在、自動販売機のある場所にドリンクサーバーや、例えば水は無料でお茶は20円、その他の清涼飲料水は50円など値段差をつけたドリンクバーを設置すれば、自動販売機が撤廃され、ペットボトルや缶のごみが実質的にゼロになります。そんなビジネスを大学に提案し実現する企業が出てくることを期待しています。

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