環境の本・次なるパンデミックを回避せよ~環境破壊と新興感染症
・コロナ危機と未来の選択~パンデミック・格差・気候危機への市民社会の提言

2021年06月15日グローバルネット2021年6月号

次なるパンデミックを回避せよ ~環境破壊と新興感染症

著●井田徹治

新型コロナウイルスは、エボラウイルスやエイズウイルスなどと同じ「動物由来感染症」(動物から人にうつる病気)を引き起こすウイルスである。筆者は、動物由来感染症が近年多発する「根本原因」を、森林破壊、地球温暖化、野生動物食、ペット取引、肉食、生物多様性の消失の六つに分けて解説し、日本人の生活スタイルもこれらの原因と関係していることを明らかにする。例えば、パーム油の消費は熱帯林の破壊を招き、エキゾティックペット(海外からペットとして輸入される珍しい動物)の取引は感染症を持ち込むリスクになるという。

これらの「根本原因」を解消しなければ、次なるパンデミックは回避できない。筆者が言うように、新型コロナの「主犯は人間」であり、社会と経済の大変革が求められている。(岩波書店、1,300円+税)

 

 


コロナ危機と未来の選択 ~パンデミック・格差・気候危機への市民社会の提言

編●アジア太平洋資料センター

本書は、アジア太平洋資料センター(通称PARC)が2020年5月から開催した「PARC自由学校」事業のオンライン連続講座「COVID-19時代を生きる」の講義録を基に、提言として編み上げられた。

新型コロナウイルスは「グローバル経済の矛盾と限界、人権・環境・開発の課題をすべて含み込みながら登場」し、私たちは「この危機に際し、どのように考え行動をとるべきか」、自身のありようが問われている。本書では、真の意味で公正・強靭かつ持続可能な社会を実現するため、歴史、経済、医療、人権、環境、市民社会などの切り口から、10人の専門家・ジャーナリスト・NGOが提言を行っている。(コモンズ、1,200円+税)

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