環境の本(1)魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣

2022年01月14日グローバルネット2021年12月号

魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣

著●石井 妙子

「水俣の教訓を生かして」と人は言う。だが、私たちは水俣で起こったことをどれだけ知っているのだろうか。筆者は、自身のこの問いに答えるべく、チッソ水俣工場の設立、水俣病の発見、原因究明、補償を巡る闘いに至る歴史を、被害者、チッソ労働者、幹部、行政、原因究明に携わった医師など、さまざまな当事者の証言を豊富に引用して描いている。

この一連の歴史が、写真家ユージンとアイリーンのそれぞれの生い立ち、出会い、三年間の水俣滞在、そして写真集『MINAMATA』出版に至るドラマと絡めてあるため、大変読みやすい。水俣病を深く知ることを避けてきた人や、初めて知りたいと思った人が、いま手に取るべき最初の一冊。(文藝春秋、1,900 円+税)

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