環境の本水俣曼荼羅 製作ノート

2022年02月15日グローバルネット2022年2月号

水俣曼荼羅 製作ノート

著●原 一男+疾走プロダクション

昨年11月から公開中の映画『水俣曼荼羅』は、行政との交渉時や日常生活で、水俣病の患者や支援者が見せる怒りや悲しみといったシリアスな感情を生々しく記録しており、胸に突き刺さるシーンの連続である。一方、患者が自らの青春、恋愛、新婚生活について語るコミカルな場面もあり、6時間の長尺にも関わらず時間を忘れるほど面白い。

本書に収められているインタビューで、原一男監督は、映画が6時間の長尺になった理由や前述のコミカルなシーンの撮影秘話、タイトルの「曼荼羅」に込めた思いなどを語っており、「水俣病の問題は終わっていない」ということの意味を、映画でどのように伝えようとしたのかが理解できる。映画を見た後は、ぜひ本書の「採録シナリオ」を読んで、出演者の言葉や喜怒哀楽を反すうしてもらいたい。
(皓星社、1,800円+税)

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