フォーラム随想コロナ禍の健康管理

2022年04月15日グローバルネット2022年4月号

(一財)地球・人間環境フォーラム 理事長
炭谷 茂

 私のような年配者の話題のダントツのトップは、病気である。病気の話になると、口の重い人も冗舌になるから不思議だ。年配者の集まりでは病気の話題さえあれば、一時間は軽く盛り上がる。
 若い頃は、高齢者が病気の話ばかりするのにはうんざりしたものだ。聞いている若い人は、「何が面白いのか」と不思議に思う。
 病気のことを聞いていると、自分までが病気になるような気がした。胃がんが話題になると、自分の胃に違和感を感じ、がんではないかと心配になった。これは心理学的にも相応の反応だ。だから以前は、意識的に病気の話題からは、逃げてきた。
 しかし、不思議なもので、馬齢を重ねるにつれ、そんな私も病気の話が嫌でなくなり、話の輪に加わるようになった。
 加齢とともに体のあちこちに不調が出始め、自分の治療方法を話したくなる。成功したのであれば、「良い医者に出会えた」と自慢話になる。失敗したのであれば、憂さ晴らしになる。
 高齢者は、生活の範囲が狭まってくるので、話題がなくなる。しかし、病気に限っては、新しい体験を発することができる。
 というわけで、本欄でも懲りもせずに健康談義を繰り返してきた。私も高齢になった証しである。

 

 1月下旬、主治医の定期の診察を受けたとき、主治医は、「いったいどうしたのですか」と驚いたように言った。ここ10年なかった最悪の結果である。日常の私の健康管理のためにいつも妻が同行するが、妻の顔は、「やっぱりね」と納得の感じだ。
 コロナのために、日常の生活や仕事でストレスが蓄積していた。これが二年間も続くと体に明確な不調シグナルが出たのだ。本職である病院や福祉施設の経営者として、終わりの見えないコロナとの闘いに神経をすり減らしてきた。旅行や食事会の機会がないので、ストレスを発散できない。
 主治医は、同情しながら、「できるだけリラックスしてください」と助言してくれた。
 大概の人も私と同様にコロナ禍でストレスがたまり、健康を損なっているのだろう。

 

 最悪の健康データを目の前にした1月下旬以降、健康戦略を見直した。食事は厳格に3食をしっかりと食べる。中国料理の専門家である妻は、油をふんだんに使う中国料理が得意だが、これを避け、健康的なメニューにした。
 食べ物と言えば、私の秘密兵器がいくつかある。5年前に中国人からクコの実を勧められた。目に効果的でがん予防にもなるという触れ込みだった。ただし青酸成分が含まれているので、「一日20粒以下を厳守しなければならい」と付け加えられると、余計効果があると感じた。
 副作用もないだろうからと、毎朝ヨーグルトと一緒に食べてきた。確かに視力の顕著な改善を自覚している。
 このヨーグルトも秘密兵器の一つで、10年以上続けている。健康に効果的だと喧伝されるカスピ海ヨーグルトを家で作っている。こちらの方は、便秘予防になることは確実だ。
 もう一つ挙げると納豆である。これは30年以上毎朝食べてきただろうか。有名なナットウキナーゼの効果によって血液サラサラになることは、科学的に証明されている。
 ウォーキングの方もさらに熱を上げた。夜の速足のウォーキングを7キロに延長した。これはストレス解消にもなった。
 さらにロコモを10年ほど前から自覚するようになった。片足で30秒立っておれず、ふらついてしまう。体幹が弱ったためだが、こちらは、次の課題だ。
 このように健康談義を始めるときりがない。もう立派な高齢者の姿だ。
 
 真面目な努力のかいあって、その後の診断結果ではV字回復をしていた。すると、また話したくなる……。

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