環境条約シリーズ 365水俣条約第4回締約国会議

2022年08月15日グローバルネット2022年8月号

前・上智大学教授
 磯崎 博司(いそざき ひろじ)

2022年2月に、植物防疫法の改正法案が国会に提出された。その背景には、温暖化や貨物移動の増加に伴う有害動植物の侵入・まん延リスクの増加、また、化学農薬中心の防除に伴う薬剤耐性を持つ有害動植物の出現などがあり、有害動植物の発生予防も含めた、農薬だけに頼らない総合的な予防・防除策へ移行することが求められていた。それに応じて本改正法案は、警戒すべき有害動植物の国内への侵入状況の調査、その侵入を認識した者による通報の義務化、緊急防除のための基準の作成、農業者に対する予防・防除に関する勧告・命令措置の導入、検疫対象物品と検査権限の拡充、また、検疫違反に対する罰則の強化、法目的への有害動植物の発生予防の追加などを定めている。

他方で、国際植物防疫条約(本誌2001年9月)の1997年改正は2005年に発効し(国内公布06年)、その下で植物検疫措置に関する国際基準(22年3月時点で44件)が作成されている。それらに適応するための措置も本改正法案に含まれている。

たとえば、97年改正は、「有害動植物」とは、植物又は植物生産物に対して有害な、植物、動物又は病原体のあらゆる種、ストレイン又はバイオタイプであり、「植物」には、その一部、種子及び生殖質が含まれると定めている。それに応じて本改正法案は、現行の「有害植物」の定義のうち、「真菌、粘菌、細菌、寄生植物及びウイルス」を「真菌、粘菌及び細菌並びに寄生植物及び草(その部分、種子及び果実を含む。)並びにウイルス」に置き換えている。

また、97年改正は「検疫有害動植物」の要件の一つに「公的防除が行われているもの」を挙げており、国際基準5は「公的防除」は「適切な法的権限」に基づくべきと定めている。それに応じて本改正法案は、現行の「検疫有害動植物」の定義のうち、「国により発生予察事業その他防除に関し必要な措置がとられているもの」を「この法律その他の法律の規定によりこれを駆除し、又はそのまん延を防止するための措置がとられているもの」に置き換えている。

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