環境条約シリーズ 365水俣条約第4回締約国会議

2022年08月15日グローバルネット2022年8月号

前・上智大学教授
 磯崎 博司(いそざき ひろじ)

2021年11月に水俣条約(本誌13年2月)の第4回締約国会議の前半部(COP4.1)がオンライン形式で開催され、22年度の作業計画と予算が承認された。COP4.1に並行して、映画『MINAMATA-ミナマタ-』に関する特別対談やカナダ先住民族に関わる水銀測定会合なども行われた。その後半部(COP4.2)は対面形式で、ただし新型コロナウイルス感染症の拡大のため参加代表団の規模を制限して、22年3月21~25日にインドネシア・バリにおいて開催された。

COP4.2では、条約の有効性評価を行うための部会の新設とその実施計画の承認、水銀放出明細表の作成手引きの確定、また、附属書Aの改正(電球形蛍光ランプなど8種類の水銀添加製品の廃止期限を25年末にすること、歯科用水銀合金の追加削減措置を取ることなど)が決定された。しかし、ボタン電池や直管形蛍光ランプなど4種類の水銀添加製品の廃止期限は合意に至らず、COP5での継続審議とされた。

同様に、COP5での審議とそれに向けた情報収集や事前準備が定められた事柄も多かった。たとえば、水銀を含む触媒を用いるポリウレタン製造工程の追加(付属書Bの改正)、塩化ビニルモノマーとナトリウムメチレートの製造工程における水銀を使用しない手法への転換、水銀放出量削減のための「利用可能な最良の技術」と「環境のための最良の慣行」に関する手引きの作成、いわゆる区分Cの水銀廃棄物の閾値(上限濃度)の設定などである。

他方、21年末までに89%の締約国から条約実施状況に関する簡易報告書が、また、およそ75%から正式報告書が提出され、その提出比率は比較的高いのであるが、提供されたデータには曖昧で役立たないものもあると指摘されている。そのため、報告様式や報告手引きを改善することが決定された。

以上のほか、23年度の予算・作業計画や、条約の資金メカニズムの見直し作業の進め方なども定められた。COP5は、23年10月30日から11月3日までスイス・ジュネーブで開催される予定である。

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