特集 シンポジウム報告/Refill Japanシンポジウム もっとリフィルを!さらなる脱使い捨て社会へ!〈基調報告〉Refill Japanの3年間と新たな展開

2022年05月17日グローバルネット2022年5月号

水Do!ネットワーク事務局長
瀬口 亮子(せぐち りょうこ)さん

 全国に給水(リフィル)スポットを増やし、環境負荷の低減と魅力的なまちづくりを推進するプラットフォーム「Refill Japan」が2019 年5 月に発足してから3年。今では「給水スポット」という言葉が多くの企業や自治体でも使われるようになり、これを生かしたまちづくりを実践する地域も増えてきています。
 本特集では、Refill Japan が今年3 月18 日に開催したシンポジウム「もっとリフィルを! さらなる脱使い捨て社会へ!」での、基調講演・報告そしてパネルディスカッションの概要を紹介します。

 

誰もが参加できるプラットフォーム“Refill Japan”

ペットボトルなどの使い捨て飲料容器の使用を減らし、水道水の飲用、水の域産域消を推進することによって、環境負荷の低減と地域の水資源保全、人にやさしく潤いのあるまちづくりを促進する「水Do!ネットワーク」が運営する、給水スポットを広げるプラットフォーム“Refill Japan”の立ち上げから3年がたちました。

ペットボトル入り飲料水は生産し、運んで冷やすという製品のライフサイクルで多くの二酸化炭素を発生し、水道水と環境負荷を比べると、差は歴然としています。

そこで、水道水を飲むことで環境負荷を減らし、魅力的なまちづくりにつなげていこうと、給水できる場所(給水スポット)を増やす活動に広げてきました。

2015年にペットボトルの削減や魅力的な給水インフラを整えるまちづくりを進める英国・ブリストル市のRefillキャンペーンと提携し、2019年5月にスタートしたRefill Japanは誰でも参加できるプラットフォームです。

Refill Japanの給水スポットの条件は①誰でも無料で利用できる②水道水である、の二つです。宅配水のウォーターサーバーを置いている店がありますが、宅配水は大きなペットボトルのようなものなので、環境負荷が高く、登録できません。

給水スポットは直接飲めるタイプ、ボトルにくめるタイプ、お店の人が入れてくるタイプなどがあります。スマホでも簡単に探せるようになっており、誰もが使える公共インフラとしての給水所と、協力店舗を登録しています。

地域リフィルが活動の主役

Refill Japanには地域Refillという組織があり、現在16地域で約1,600件の給水スポットが登録されています。地域リフィルのメンバーが衛生的に管理されているか、お勧めできるかを現場で確認してマップに給水スポットを登録しています。

全国の地域リフィルのメンバーが一堂に会するRefillサミットを開催し、各地域の報告を共有するとともに今後の活動の進め方について話し合っています。直接会うということで結束が高まったのが一番の成果でした。

また、日本で初めて水道直結式の仮設給水機を導入し、3年間で14のイベントで1万500人に利用いただきました。その分だけペットボトルを削減でき、熱中症の予防にも役立ったと思います。そして、地元の人たちに「ここに給水スポットがあったらいいね」と実感していただいたことは、今後常設の給水所設置につながるのではないかと思います。

各地の給水スポット成功事例

2020年10月、東京の新宿御苑で日本の公園としては初めて、ボトルにくめるタイプの給水機が所管する環境省によって6ヵ所設置され、Refill Japanがサポートしました。

2020年夏に東京・浅草の雷門前で給水機設置を呼び掛けるアクションを行い、翌年そこに東京都水道局の給水機が設置されました。また、同年7月に大阪メトロが、鉄道駅で初めて天満橋駅で実証実験を実施しました。また、神奈川県・江ノ島では東京2020大会の期間中、県の要望により給水機を設置し、一日千人ぐらいが利用しました。

さらに日本初の汎用型屋外常設用ボトル給水機を、株式会社フロムトゥと共同開発し、1号機が皇居外苑のスターバックスコーヒー前に設置されました。

今後の展開

Refillは「再び詰める」という意味なので、無料給水だけでなく、持参容器でテイクアウトや買い物ができる店などにも対象を広げます。いろいろな主体との連携を進め活動地域を増やしていくのはもちろんですが、意欲的な自治体に自治体宣言を出すよう呼び掛けたり、国際的な連携アクションを進めていくことも予定しています。

また、環境負荷が減ったことを、LCA調査分析して検証し、推奨できるやり方も提案していこうと思います。

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